熱中症 ―高齢者は特に注意が必要です―
さいわい診療所 所長 関口 由希公
熱中症患者のおよそ半数が高齢者(65歳以上)です。
日中の炎天下だけではなく、室内でも、夜でも多く発生しています。家族や周りにいる人たちも、暑ければいつでも起こる危険があると思って日頃から注意をし、積極的に声をかけてください。
1.熱中症とは
高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能がうまく働かないことにより、体内に熱がたまり、筋肉痛や大量の発汗、さらには吐き気や倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識障害などが起こります。
2.なぜ高齢者は熱中症になりやすいの?
- 体内の水分が不足しがちです。
体内の水分量は子どもが75%、成人が60%、高齢者は50%と言われています。 高齢者は若年者よりも体内の水分量が少ない上、身体の老廃物を排出する際にたくさんの尿を必要とします。 - 暑さに対する感覚機能が低下しています。
加齢により、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなります。 - 暑さに対する調節機能が低下します。
高齢者は暑い環境でも、汗をかきにくく、皮膚血流量が増えにくいので、体に熱がたまりやすくなっています。
3.熱中症を防ぐために、「5つの声かけ」をしましょう!
- 温度に気をくばろう。
体で感じる暑さと実際の気温は異なることがあります。
節電も大切ですが、エアコンや扇風機を積極的に使いましょう。
室温が28度を超えないようにすることが大切です。 - 飲み物を持ち歩こう。
熱中症予防には水分補給が肝心です。
いつでもどこでも水分補給ができるように、飲み物を持ち歩きましょう。
のどの渇きを感じなくても、こまめに水分を摂取しましょう。 - 休息をとろう。
夏に頑張りすぎは禁物です。疲れると熱中症にかかりやすくなります。
十分な睡眠と、休息をとりましょう。 - 栄養をとろう。
きちんと食事をとることも熱中症予防になります。
バランスよく食べること、朝ごはんをしっかり食べることも大切です。
アルコールの摂取は尿量を増やして、むしろ脱水症状を招きます。 - 声をかけ合おう。
体力がないお年寄りや子供は熱中症にかかりやすいです。
家族やご近所同士で、「水分とってる?」「少し休んだほうが良いよ」など、声をかけ合いましょう。
体は涼しく、心は温かく。コミュニケーションが命を救います。
参考 熱中症環境保険マニュアル(環境省),熱中症予防声かけプロジェクト